写経を続けるが,あまり芳しくない.字がうまくならない.気持ちの落ち着きがあと一歩.まだまだである.初めて書いたときの般若心経.筆ペンで用紙をなぞっているのに,がっかりする.ま,写経であるから,うまさよりも心をどうこめるかであるが,それもままならない様子.一字一字が不安定で,筆運びが悪い.心の乱れもあるのだろう.

書き始めて,一か月ぐらいした.毎日書いていることで,字は少しみられるようになってきた.しかし,心の乱れはやはり字に出てしまう.

「無」の字の「止め」などを集中して気を付ける.でも,「不」など,どうしても形が安定しない.できるだけ,写す漢字と同じようにゆっくり書いてゆく.しかし,それを繰り返すと,字を写すのではなく自分で書いてみたくなる.身の程知らずである.そんな折,写経用紙を買い換えたときに,「鳥の子紙」という厚手の紙になる.この紙は,紙の後ろにお手本を置き,それを写す用紙なのだが,紙が厚く,お手本の字の細かいところまで良く見えない.字の形や場所はおおむね分かるが,字の筆つかえが見えない.これを機に,「自分で書いてみたい」と思う気持ちで,挑戦する.

やらなければよかった.大きく逆戻り.字の書き方も荒くなってしまう.ただ,鳥の子紙を購入したので,しばらくは,これで書いてみる.しかし,自分の悪い癖が出すぎても嫌なので,再度,薄い字をなぞりながら写経する写経用紙を購入し,一からやり直している.

「子」や「無」など癖がついているような気がする.兎に角,基本ができていないと思う.心の落ち着きもまだまだ.また,自分が気が付いていない部分に大きな問題があるのかもしれない.般若心経を書くのに,最初は50分ぐらいかかっていたが,最近は30分ぐらいである.ここにも問題が.つい,速く書いてしまう.価値観をかえていきたい.写経は,「一文字三礼」と聞くが,私には,できない.