特別高圧送電線


自宅の周りに特別高圧送電線が存在します.詳しく調べている最中ですが,とりあえず,一般的に275kVから500kVの架空電線は,鉄塔の左右で3相交流4組12本と被雷用の架空地線2本の14本の線が張られています.架空送電線は,ACSR (Aluminum Conductors Steel Reinforced) 鋼心アルミより線 と呼ぶらしくJIS規格 C3110で決まっているようです.

空中に浮かぶ高圧電線は,よく脳腫瘍などの疾患の原因として報告されます.高電圧の交流が磁界を発生させ,その磁界の影響で脳疾患が発症するリスクが大きいという話です.学会では世界各地で高圧送電線と脳腫瘍の関係について統計的に有意な因果関係が報告されているのですが,公式見解となると統計的に信頼がおけないという結果となり,うやむやになっているように思います.

磁界による人体への影響もさることながら,あんな太い電線が7本も宙に浮いているわけですから,万が一断線したときの被害が心配になります.高圧架空送電線の重さを調べてみました.先述したJIS規格より,公称断面積610mm2のACSRの場合,1Kmあたりの質量が,2320kg/kmとなっています.2つの鉄塔の距離は,地形によっていろいろの様ですが,350m~400mとなっていました.例えば,400mとすれば,2.3t×0.4=0.92tの電線が6本,鉄塔につながっています.鉄塔は,0.92t×6本÷2=2.76tのおもりを2つの鉄塔が片方ずつ持っているわけです.(1番てっぺんの架空地線は省きました)400mの間の1本の電線の重さが,0.92tというのは,私にしてはちょっと軽いと思いました.電線の両端が切れれば,約1tの金属が落ちてくるというわけです.

ここからは,くだらない,しかも超近似計算ですが,400m間隔の鉄塔の片方の端の碍子部分で断線したときに,その切れた電線が地面に落ちてくるわけです.この時,もう一方の断線していない鉄塔の碍子を支点として,断線した棒状の剛体(電線のこと)が振り子のように地面に落ちてきたとするとその時の地表での速度がいくらになるか考えてみました.高校物理の計算ですが,断線した電線がつながっている鉄塔の高さが70mぐらいと仮定すると,地表に落ちてくるときの振り子の角速度は,0.18rad/sとなり,接線方向の速度は,時速259㎞/hとなり,新幹線がぶつかってくるぐらいの速さで地面にぶつかります.しかし,この計算は非常に不自然で,400m離れた鉄塔につながった電線が丸棒のようになって振り子のように70m回転するときの地面すれすれでの回転接線方向の速度です.電線が落ちてくるときは,きっと丸棒の振り子のように落ちてこないでしょからかなりめちゃくちゃな仮定だと思います.

ちなみに,高さ70mから地面にまっすぐ鉛直に落ちてきな物体の速度は,エネルギーの保存則から落下物の質量によらず,37m/sとなると思います.これ,時速133kmです.回転によるモーメントの影響を受けないので,速度は時速259kmまで上がりませんが,かなり早くてダメージを受けることは確かです.

ちょっと無茶苦茶な近似計算でしたが,70m上空に電線がつながっているという事実は,やはり物理的に怖い感じがしました.

なお,この記事は,JIS規格C3110,https://www.jcma2.jp/files/documents/ACSR2CHAL2CAC2CGSWE59084E7A8AEE696ADE99DA2E59BB3EF.pdf,および,https://jectec.or.jp/densen_kiso/denryoku/3-1.html を参考にして作成いたしました.ありがとうございました


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