菩薩に遭遇する


自宅から車で20分ほどの公園に出かけました.多摩丘陵の谷戸にある公園で山道のようなところを歩きます.コゲラやヒヨドリを見ながら歩いていました.人とはほとんどすれちがわず,ときどき鳥を見に来ているシニアとすれちがう感じでした.ふと,谷戸の道を帰ろうとしたとき,前方に車いすを押している70代後半のおじいさんと小学校3,4年の男の子が目に入りました.階段のある谷へのくだり道を良く,車いすを押しながらやってきたものだとびっくりしました.まあ,車いすと言っても病院で患者さんを移動するときに使う様な小型のものですが,大人が座れるぐらいの大きさがありました.谷からの帰り道は,上り坂やのぼり階段です.おじいさんと子供は,一生懸命,車を押しているのですが,ちょっと階段が急になってきました.「良く降りてきましたね,大丈夫ですか?」と声をかけるとニコニコしながら,「大丈夫です」と声が帰ってきました.とてもだいじょうぶにはみえないので,家内と一緒に車いすを階段の上までもっていきました.後は,スロープなので,ユックリ歩いていけば大丈夫だと思いました.「どこから来たのですか?」の問いに,「駅からバスに乗って,電車で30分ぐらいのA駅から来ました.」「ネットで調べてきたんですよ」とのこと.A駅から車いすを押しながら来るという発想は,考えられない.おじいさんが言うには,車いすと言っても,自分が座って乗るのではなく,歩いているとめまいがするので,車いすをもっていつも移動しているそうです.小学生の男の子は,礼儀正しく,「ありがとうございました」と明るく挨拶をしてくれました.A駅は,私が小学生の時に住んでいたところなので,「「○○小学校」って知ってる?」と小学生に話しかけると「僕が通っています!」と返事が返ってきました.「おじさんも卒業生だよ」と言うと「びっくりしていました.」

A駅から遠く離れた谷戸の中でおじいさんと子供に会えたのも何かの縁かもしれません.二人と別れて,家内と話したことがあります.「車いすでいけるかな?」などと心配することなく,その時その時,今を一歩一歩,歩いてここ迄来れた」おじいさんと子供の生き方に衝撃を受けました.確かに,周りの人の手伝いが必要でしたが,みんなで助け合いながら今を生きているという姿は,なにか啓示的なメッセージのように感じました.「過去を振り返らず,未来を憂いず,今を一生懸命生きろ」と言われているように感じました.おじいさんは,何時もニコニコしていました.白昼,多摩の谷戸で地蔵菩薩と掌善童子にあったのかもしれません.


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